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ジプニーとトライシクル

ジプニーとトライシクルはフィリピンの庶民の足ともいえる交通機関です。慣れれば最も安く最も便利な交通機関ですので、フィリピンに何度も行っている観光客や、現地で長期間滞在する留学生ならば利用する機会があるかもしれません。フィリピンのジプニーとトライシクルについて紹介します。

ジプニー

ジプニーはジープニーとも呼ばれる乗合バスで、マニラやセブを始めフィリピン全土津々浦々で利用されている庶民の交通機関です。

ジプニーが登場したのは第二次世界大戦後で、戦後フィリピンに駐留していたアメリカ軍のジープがフィリピン人に払い下げられ、それを公共交通機関として転用したのが始まりです。ジープが由来であることからジプニーという名前が付いています。

当初はアメリカ軍払い下げのジープをそのまま使っていましたが、乗車人数を増やすためにホイールベースを伸ばして客室部分を延長するようになりました。現在は主に日本製の小型トラックのエンジン、トランスミッション、シャーシをそのまま残し、ボディ部分を改造して制作しています。客室部分は運転席のすぐ後ろから車体最後部まで進行方向と平行に長いシートを2列配置し、乗客は向かい合う形で座ります。また、助手席も座席として使いますが、1つのシートに2人で座るのが一般的です。

乗り降りは車両最後部の開口部から行いますが、多くのジプニーは屋根が低いため、屈んだ姿勢で車内を移動することになります。ヴィサヤ地方西部など一部の地域では屋根の高いジプニーもあります。ボディ形状はジープを転用したことに起源を持つため、ボンネットタイプのものが多いです。しかし地方によって違いがあり、バコロドやイロイロなどヴィサヤ地方の一部地域では、ミニバンのような形状のジプニーもあり、この場合はボンネットタイプではありません。

ジプニーは庶民用の安価な公共交通機関であるため、車内にエアコンは設置されていません。このため、バギオのように冷涼な気候の都市を走る場合を除いて、ジプニーにはフロントガラス以外は窓にガラスなどはなく完全な開放状態となっています。雨が降ったときは開口部の上にロールされたビニールシートを垂らして雨が入り込むのを防ぎます。

ジプニーの所有形態と運行状態

ジプニーは車両の所有者と運転手が別々であるのが普通です。各ジプニーには個別の所有者がおり、運転手は所有者に賃料を払ってジプニーを借り受け運行します。そして乗客から受け取った運賃から賃料とガソリン代を差し引いた差額がジプニー運転手の収入となります。

ジプニーはその時々で好きなルートを自由に走って良いというわけではありません。各車両ごとに出発地、経由地、目的地が明確に決まっており、運転手は決められたルートだけを往復します。また、起点、終点と主な経由地がジプニーのボディ側面に表示されている他、それらを書いた小さなボードをフロントガラスに貼り付けることで乗客に知らせています。さらにセブなど一部の地域ではルートごとに14Aや7Cといった具合に番号が決められており、ジプニーのボディ上部にこの番号を表示することで、各ジプニーのルートが乗客に分かりやすいような工夫がされています。

ジプニーのルートは市内の津々浦々にまで張り巡らされており、市内の主要道路は言うまでもなく、ジプニーがぎりぎり通れるくらいの路地裏にまでルートが設けられています。このため、運行ルートを把握しさえすれば、ジプニーは非常に利便性の高い交通機関となります。

ジプニーの利用方法

ジプニーには起点と終点、経由地が決められていますが、途中の停留所やバス停のようなものはなく、好きな場所で乗り降りができます。ジプニーに乗るときはボディに書かれたルートから目的のジプニーを判断し手を上げれば止まってくれますので、助手席に乗るか、後部の開口部より客室内に乗り込みます。座席が境目のないロングシートであるため、混雑するときはギュウギュウ詰めで乗ることになります。

ジプニーの運賃は初乗り運賃と加算運賃で構成されており、都市によって異なりますが初乗り運賃は7〜8ペソです。加算運賃は1ペソ単位ですが市内を走っている限りはよほど長距離にならない限り10ペソを超えることはありません。支払いはジプニーの運転手に直接手渡します。自分の座った位置が運転手から遠くて手渡しができない場合は、自分より運転席よりの乗客にお金を渡し、乗客間をリレーされて運転手まで渡ります。お釣りがある場合は逆ルートで戻ってきます。支払う際にジプニーのドライバーに掛ける言葉は「バイヤード」で、これはフィリピンほぼ全土で共通です。

ジプニーは好きな場所で降りることができます。降りたい場所が近づいてきたら運転手に声をかけますが、マニラでは「パーラポ」、セブでは「ルガラン」、バコロドでは「サルガルラン」など地域によって言い方に違いがあります。また、セブなどではコインや指でジプニーの屋根を叩いて知らせることもありますが、マニラではこれはエチケット違反とされています。

トライシクル

トライシクルは自転車や小型のオートバイに屋根付きのサイドカーをつけた三輪タクシーのことです。ジプニーのルートから外れた場所やジプニーでは入り込めない小さな路地などへの移動で使います。ジプニーを降りてトライシクルに乗り換えて自宅まで帰るといった利用方法も多いです。

トライシクルには決まったルートはなく、タクシーと同じ感覚で使えます。トライシクルの止め方や降り方は基本的にジプニーと同じです。決まった料金はなく運転手との交渉で決まりますが、もちろん相場のようなものはあります。また、乗客1人あたりいくらではなく、トライシクル1車両あたりいくらという料金の取り方をしますので、1人あたりの運賃は2人で乗れば半額、3人で乗れば3分の1になります。このため、朝夕の登下校時には近所の小学生同士が6〜7人で1台のトライシクルに乗り合わせるという光景もよく見られます。

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