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フィリピン国有鉄道

フィリピンにも国が運営する国有鉄道があります。かつての日本の国鉄のようなものです。観光や留学でフィリピンに来た日本人が利用する可能性は低いのですが、フィリピン国鉄について見てみましょう。

フィリピン国有鉄道の概略

フィリピン国有鉄道はフィリピンがまだスペインの植民地だった頃の1892年に営業が開始された100年以上の歴史を持つ鉄道です。第二次世界大戦前はマニラから北はアンヘレス、タルラック、ダグパンを経てルソン島中部のサンフェルナンドまで、南はカランバ、ナガを経てビコール地方の中心都市レガスピまでの南北両幹線の他、バタンガスやサンホセへの支線など、総延長で1,000kmを超える路線を持っていました。

戦争によって壊滅的な打撃を受けたフィリピン国有鉄道ですが、終戦直後から復旧作業が始められ半分弱の路線が回復しました。しかしその後は台風や大洪水などの自然災害で鉄橋が流されたりし、マニラより北の路線は事実上の廃線状態となりました。

フィリピン国有鉄道の南線は日本政府からのODA支援も受け整備が進められ、マニラからナガまでの運行が再開されました。2006年には台風がビコール地方を直撃しフィリピン国有鉄道南線では3本の鉄橋が消失し、マニラとナガを結んでいたビコールエクスプレスは運休となりました。しかし2011年に運転が再開され、現在は日本のJR東日本から譲渡された寝台車両を使って運行されています。

ビコールエクスプレス

フィリピン国有鉄道で現在運行されているのは2つの鉄道です。その一つがフィリピン国鉄の花形列車であるビコールエクスプレスです。

ビコールエクスプレスはマニラからルソン島南部ビコール地方のナガとの間を一晩かけて運行する夜行列車です。かつてはナガの先にあるビコール地方の中心都市であるレガスピまで走っていましたが、台風による鉄道設備への被害のため、フィリピン国有鉄道では現在のところナガとレガスピの間でビコールエクスプレスの運行を休止しています。

マニラとビコール地方との間には長距離バスが多数運行されており、両都市の間を10時間ほどで結んでおり、フィリピン国有鉄道が運行するビコールエクスプレスは速度面では対抗できません。しかし、寝台車両の快適さもあり満席になるほどの人気です。なお、ビコールエクスプレスの車両には、かつて上野と金沢の間を走っていたJR東日本の寝台特急北陸で使用されていた14系客車が利用されており、車内の表示などは日本語のままです。

マニラ近郊鉄道

フィリピン国有鉄道で現在運行されているもう一つの鉄道路線はマニラと近郊都市とを結ぶ近郊鉄道、いわゆる通勤路線です。

マニラ市北部のトトバンから中心部のマカティを経由し、メトロマニラ南端のモンテンルパ市のアラバンまでを結んでおり、朝夕の通勤時間帯を中心に1日18往復の列車が運転されています。

路線は一部を除いて複線非電化で、かつては日本から譲渡されたディーゼル列車が走っていました。今は韓国製の3両編成の新型ディーゼル列車が運行されています。

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