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フィリピンのフェリー

フィリピンは東南アジアではインドネシアに次いで多い、7,000を超える島々を持つ群島国家です。フィリピン3大都市のマニラ、セブ、ダバオはそれぞれ別の島にありますし、セブに近隣する都市であるイロイロ、バコロド、タグビラランもそれぞれ別の島にあります。このため、島と島の間を行き来する交通機関として、フィリピンではフェリーが重要な位置付けを占めています。フィリピンのフェリーについて見てみましょう。

フィリピンを航行するフェリーの種類

フィリピン国内を航行するフェリーにはいくつかの種類があります。最も早いのは高速フェリーです。イロイロとバコロド、セブとタグビラランなどそれほど遠くない距離を短時間で結ぶ交通機関です。飛行機に対抗する位置付けでフェリーの運賃は最も高いです。

一般的なフェリーは庶民の移動手段として定着しています。例えばマニラからセブに移動する場合、所要時間を考えればもちろん飛行機が良いのですが、飛行機の運賃は庶民にとって決して安いとはいえない金額です。また、フィリピンの庶民が移動するときには大量の荷物を持ち歩くことが多いのですが、飛行機では持ち込み荷物の重量に制限があります。時間はかかるが安くて荷物を大量に運べる交通機関として、フェリーはフィリピンの庶民から根強い支持を受けています。

これ以外に、クルマやバスを乗せて航行するカーフェリーがあります。特にマニラからルソン島南部のバタンガス港を経てカーフェリーでセブやダバオに向かう路線などは利用率も高いです。また、フィリピン南部ミンダナオ島のザンボアンガからは、マレーシアのボルネオ島に至る国際フェリーも就航しています。

スーパーフェリー

次にフィリピンのフェリー会社とその航路を見てみます。フィリピンには中小まで入れると数百のフェリー会社があると言われています。ここでは観光や留学でフィリピンにやってくる日本人が使う可能性がある大手のフェリー会社を紹介します。

まずスーパーフェリーです。スーパーフェリーはマニラとセブを拠点とするフィリピン最大のフェリー会社です。傘下にセブフェリーというフェリー会社を持っており、2GOTravelという共通ブランド名で展開しています。

スーパーフェリーとセブフェリーは数多くの航路を就航させています。マニラからセブは1日1便で所要時間は22時間です。バコロドへも1日1便で27時間かかります。ミンダナオ島北部の主要都市であるカガヤンデオロへは週に4便で33時間の船旅です。同じミンダナオ島西部のザンボガンアへは週1便だけで所要時間は37時間です。マニラからはこの他にもブトゥアン、イリガン、ディプログ、イロイロ、タグビラランなどへのフェリー航路を運行しています。

セブからはマニラの他、レイテ地方のオルモック、ミンダナオ島のスリガオ、ブトゥアン、カガヤンデオロ、ザンボガンアなどへ就航しています。また、ダバオからはマニラとジェネラルサントス、バコロドからはオザミズ、カガヤンデオロ、マニラなどへの路線があります。スーパーフェリーは国内最大手のフェリー会社として、毎日フィリピン国内の諸都市間を結んでいます。

スーパーキャット

スーパーキャットは高速フェリーを専門に運行するフェリー会社で、スーパーフェリーと同じ2GOTravelのグループ企業です。高速フェリーを就航させ、フィリピン国内の近隣する都市間を短時間で結んでいます。

主要路線の一つがバコロドとイロイロを結ぶ航路です。イロイロ海峡を挟んで向かい合うバコロドとイロイロは西ヴィサヤ地方の主要都市で人や物資の行き来が盛んです。一般のフェリーも就航しているのですが、短時間で移動したいという人も多く、そういった旅行客のためにスーパーキャットが高速フェリーを就航させています。普通のフェリーでは2時間かかるところを、高速フェリーは1時間で結んでおり、利便性の高さから普通のフェリーが1日1便なのに対して、スーパーキャットの高速フェリーは1日4便が就航しています。

セブとタグビラランを結ぶ路線も重要です。タグビラランがあるボホール島は美しいビーチリゾートとチョコレートヒルズ、小さなサルのターシャで有名な観光地です。セブからボホール島へやってくる観光客や留学生も多く、ボホール島の玄関口であるタグビラランとセブを結ぶフェリー航路は多くの利用客で賑わいます。スーパーキャットはこの路線に1日3便の高速フェリーを就航させており、片道2時間で結んでいます。また、セブからはレイテ島西岸のオルモックへ1日3便が運行されており、こちらは片道2時間半と高速フェリーとしては長旅となっています。

便数で最も多いのは、ルソン島南端のバタンガスとミンドロ島のカラパンを結ぶ航路です。1日に7便の高速フェリーが運行されており、所要時間は片道1時間です。

オーシャンジェット

スーパーキャットのライバルと目されるのがオーシャンジェットです。オーシャンジェットはセブを本拠地とする高速フェリー会社で、セブとタグビラランを結ぶ路線でスーパーキャット完全に競合しています。1日の便数は5便とスーパーキャットより多く、所要時間も最短で1時間40分と高速性を実現させています。

オーシャンジェットはこの他にもセブからはミンドロ島南部のドゥマゲティ、ミンダナオ島北西部のダピタン、セブ島の南に浮かぶシキホール島都の間にも高速フェリーを運行しています。さらに、ドゥマゲティ、ダピタン、タグビラランなどの間にもそれぞれを結ぶ航路で高速フェリーが毎日運行されています。

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