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フィリピンの長距離バス

フィリピンにも長距離バスが走っており、特に庶民の長距離移動手段として愛用されています。しかしフィリピンの長距離バスは日本の長距離バスと違う面も多々あります。ここではフィリピンの主要交通機関の一つである長距離バスについて検証します。

長距離バスの基本知識

フィリピンの長距離バスが日本の長距離バスと大きく異なる点は、走る路線の多くが高速道路ではない点です。東南アジアの発展途上国であるフィリピンは建設費用の問題などから、長距離バスの運行には不可欠ともいえる高速道路網がまったくといって良いほど整備されていません。現時点で供用されている高速道路は、マニラから北へアンヘレスを経てルソン島中部のタルラックに至る北ルソン高速道路(Northern Luzon Expressway=NLEx)、マニラから南へアラバンを経てカランバに至る南ルソン高速道路(South Luzon Expressway=SLEx)、アメリカ軍の海軍と空軍があった都市を結ぶスービック-クラーク-タルラック高速道路(Subic-Clark-Tarlac Expressway=SCTEx)などごくわずかです。この結果、フィリピンの高速道路は一般道路を走ることが多く、距離の割りに時間がかかります。また、ローカル区間ではターミナルがない一般の路上でも客の乗り降りが行われるため、輪をかけて時間がかかる原因となっています。

もう一つ違う点はバスの設備です。座席は通路を挟んで片側に2列、反対側に3列の5列シートが普通です。また、エアコンが付いていない高速バスもよく見かけます。ただ最近では高速道路を走るバスではエアコンバスが主流になってきましたし、マニラとバギオを結ぶ路線では日本にもあるような3列シートの豪華高速バスも登場しています。

フィリピンの長距離バス路線

フィリピンでは鉄道がほとんど発達していないため、長距離移動は飛行機か船、中長距離移動は長距離バスが主役となっています。また、フィリピンは7,000の島々から成る群島国家ですが、カーフェリーを中継して島から島へと渡る長距離バス路線もあります。例えばマニラからは南ルソン高速道路を経由してルソン島南部のバタンガス港まで行き、そこからカーフェリーに乗ってイロイロやセブ、バコロド、タグビララン、さらにはダバオにまで至る長距離バス路線があります。イロイロやセブで丸1日、ダバオへは丸2日かかる長旅ですが、庶民にとっての貴重な交通機関となっています。

マニラからの主な長距離バス路線が結んでいる都市は、イコロス地方のラオアグ、ヴィガン、中部のダグバン、バギオ、アンヘレス、オロンガポ、ルソン島南部のバタンガス、ナガ、サンタクルス、レガスピ、ソルソゴンなどです。また、カーフェリーを間に挟む形で、レイテ地方のカルバヨグ、タクロバン、オルモック、ミンドロ島のカラバン、ロハス、中西部ヴィサヤ地方のイロイロ、セブなどの都市とも結ばれています。

フィリピンの長距離バスターミナル

日本で長距離バスターミナルというと、待合室があって道路とはガラス戸で仕切られていて、場所によっては高層ビルの中にあったりといった、清潔で近代的なものをイメージします。しかしフィリピンでは空き地に掘っ立て小屋を建てたような建物を建てだだけのような簡素なものが多いです。また、日本では大きなターミナルに複数の会社の長距離バスが入ってくる、つまり、複数の会社で1つの長距離バスターミナルを共同利用するタイプが多いです。これに対してフィリピンでは、各長距離バス会社がそれぞれのターミナルを持つのが一般的です。ですので、同じエリアに複数の長距離バス会社のターミナルが隣接するという形になります。

そういった長距離バスターミナルの集中するエリアがマニラには4ヶ所あります。マニラ首都圏中西部のクバオが最大規模で、南東部のパサイターミナルが続きます。他に北西部のカロオカーンと中西部のギルプヤットにも長距離バスターミナルが集中しています。

長距離バスのサービス

フィリピンではバス車内のサービスといったものがいくつかあります。まずは車内でのビデオ上映です。車内にテレビモニターがあり映画やドラマなどを運行中ずっと流しています。長い車内で退屈しのぎのネタになっています。ごく一部のバスを除いてフィリピンの長距離バスの車内にはトイレは付いていません。このため長距離を走るバスでは2時間に1度程度のトイレ休憩があります。例えばマニラからバギオへはエアコンバスで7時間ほどかかりますが、間に3回のトイレ休憩があります。

最近の長距離バスで増えてきたのが無料WiFiです。長距離バス自体がインターネットの電波を拾い、車内にルーターが設置されており、長距離バスの車内でインターネットに無料で接続することができます。フィリピンでもスマートフォンやタブレット端末を利用する人が増えてきたため、長い旅路を車内でインターネット接続することで時間を過ごす人も多いです。さらに3列シートのデラックスバスも登場し、このタイプの長距離バスは車内にトイレが付いており、飲み物や軽食も提供されます。

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